Friday, September 18, 2009

越後妻有アートトリエンナーレ2009、雪対策

塩澤宏信作品〈イナゴハビタンボ〉は、地元の集落コミュニティーで〈雪囲い〉をしています。
〈雪囲い〉とは、作品が積雪の圧力により破壊されないための仮設のシェルターです。雪が降り積もる前に集落の人々とアーティストは、〈雪囲い〉を設置します。そして、雪解けの春にまた〈雪囲い〉を取り外します。
なぜなら、毎冬2月頃のこの地域は堆積した雪の高さが2mぐらいになり、作品に大きな圧力がかかるからです。
実は越後妻有アートトリエンナーレでは、この〈イナゴハビタンボ〉の他ほぼ全ての屋外彫刻と民家は〈雪囲い〉が施されます。まつだい駅から見える巨大なカバコフ作品には鉄骨柱の巨大な雪囲いが冬期は設置されます。それら〈雪囲い〉の設置作業は、集落コミュニティーや地元役場職員により行われているものもありますが、規模が大きなものはクレーンなどが必要になるので業者により作業されています。また、作品の計画段階から雪対策の計画も行われている。

また民家の場合、屋根に積もった雪を取り除かないと雪の重みで屋根が陥没してしまいます。近代以後は、屋根に雪が積もらないようにする装置を付けたり、屋根の角度を急傾斜にして雪が滑り落ちるようにしたり、雪の圧力に耐える建築構造にしたり、というタイプが登場しています。しかし、作品の設置が行われた伝統的な民家では、冬期間に屋根に降り積もった雪を取り除く必要があります。
また、近代的な建物でも、一階の窓を積雪の圧力から守るために窓に〈雪囲い〉をします。

観光の拡大のために、棲む人がいなくなった民家をそのまま残しておければよいですが、越後妻有地域では伝統的な空き民家の保存は課題になっています。



〈イナゴハビタンボ〉が設置が決まってから現在にいたる記録を綴った塩澤宏信の魅力的なブログには、〈雪囲い〉のことや、作品サイトの田圃のこと、また地域のようすを読むことができる。
http://inagohabitanbo.cocolog-nifty.com/blog/

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