エネシフジャパン 第四回
2011.6.2
17:00から19:00
衆議院第一議員会館大会議室
ミランダ•シュラーズ
Mranda A. Schreurs
日本語でのスピーチ。
日本は第二の故郷だとおもっている。
■ドイツの脱原子力のエネルギー政策の背景について。
1985年チェルノブイリ原発事故の影響が大きい。
当時、ドイツでは、事故直後3日間は何がおきたか分からなかった。
その後、子どもたちを外で遊ばせない、野菜を食べないなど、さまざなことが起こった。
この時の記憶を、ほとんどのドイツ人は持っている。
冷戦中、ドイツはその真ん中にあった。
米の戦略核ミサイルがドイツに配備されて、もしも第三次世界大戦が勃発したら、ドイツから始まるだろうと考えられていた。
■市民運動と反核運動のリンクについて。
1970年代に、反原子力運動と平和運動が徐々に結ばれ、それがやがて〝緑の党〟へ発展していった。
緑の党は、1983年に最初に議会進出。これはチェルノブイリ事故の二年前。
核廃棄物の移動反対の大規模なデモがおきた。
ドイツでは最終処分地がまだ決まっていない。
70年代の日本でも規模の大きな反原発運動があったが、ドイツではそのサイズが一桁違う。
最近では、ベルリン市内で15万人、ドイツ全土で25万人のデモが起きている。
■NGOとグリーンピース
NGOのグリーンピースは、ドイツでは30万人の会員数。
グリーンピースのようなNGOは国や地方政府に働きかける強い力をもっている。
日本では、そのようなNGOはまだない。
■同盟90/緑の党
チェルノブイリ事故以後から市民運動によって力をつけ、
1998年から2005まで連立政権与党になった。
社会民主党(SPD)と連立
脱原発政策
環境税導入
再生可能エネルギー政策
緑の党は他党•キリスト教民主同盟(CDU)へも影響を与えた。
現在、緑の党は政権与党ではないが、フクシマ以後のバーデン・ヴュルテンベルク州の選挙で緑の党とCDUの連立政権が誕生。
■ドイツの最終的なエネルギー消費者
日本と違い、ドイツでは家庭の消費割合が高い。
家庭でのエネルギーの節約が有効である。
■ドイツの原子力発電
現時点、17の原子力発電所があり、8カ所は停止。
残りは2021年までに止めなくてはならない。ただし、最新の3カ所は2022年に停止させる。
ドイツ国内でも、原発中止が良いのか、または電力コストが高すぎるのか、議論がある。
だが、最終的に原発を廃止することが良いという点では、国民の合意ができている。
■フランスから電力輸入について。
日本国内では、ドイツは脱原発をしたが原発推進しているフランスから電力購入に依存しているという人がいるが、それは間違いである。
2011年3月以降のドイツの電力の輸出入バランスを見ると、輸出が多い時期と輸入が多い時期が交互にあり、隣国と相互依存関係にある。
ドイツ国内では、国内で脱原発をしても隣国の原発から電力を購入したら同じではないかという議論があり、隣国からグリーン電力を輸入している部分もある。
またドイツ国内では、消費分野でエネルギー効率を上げることと、自然エネルギー発電を増やすことで、10年後には電力輸入が必要なくなるという提言も議論されている。
■固定価格買取制度(FIT)
ドイツでも原発を止めると電気料金が高くなるという議論がある。実際、ドイツ国内でも電力料金は徐々に高くなってきた。
しかし、そのような電力料金の値上げの理由は、化石燃料のコスト高が主な理由である。
固定価格買取制度は、より民主主義的な自然エネルギーのエネルギー政策をつくるという発想がある。
90年代のドイツでは、自然エネルギーの割合はほとんど無かった。
しかし、現在は17%までに成長。
今後も、地球温暖化対策と石油エネルギーのコスト高で、さらに増加成長すると考えられている。
日本の固定価格買取制度は10年だが、ドイツは20年。なのでドイツのほうが自然エネルギー促進させる力がつよい。
■ドイツでの固定価格買取制度の問題
コストバランスが悪い。
これまで太陽光発電を高くサポートしてきたので、現在FIT全体の50%を占めている。
しかし、ドイツの太陽光発電の発電量は、発電量全体の1%しかない。
今後、これは是正される。
ドイツでは、日照が少ない。しかし風力は有効だと分かっているので、今後は有力等他の自然エネルギーへ注力すべきである。
■ドイツの最終処分について
ドイツでも、核廃棄物の最終処分地は今のところ無い。
フィンランドで開発がすすんでいるという。
他に、オーストラリアと中国が開発するのではないかといわれている。
また、数十年後には、放射性物質の放射能を少なくする技術開発が成功する可能性があるという議論もある。
■ドイツの今後10年の自然エネルギー設備の課題
高電圧線ネットワークが自然エネルギー推進には必要である。
ドイツでは、風が強いとき、一気に発電量が上がり電線に負荷がかかる。
その負荷に耐え、田の地域へ電力を送電するための高圧電線の整備が必要となっている。
この高圧電線整備のコストは高く、電磁波が人体に与える影響もあり、経路をどこにするかで議論がある。
現在、経路の候補は鉄道や高速道路を利用することが議論されている。だが、鉄道や高速道路がない地域はどうするかまだわからない。
いずれにしても、このような大規模なインフラ整備には市民参加が入らないと、反対運動がおきる。
■シュトゥットガルト駅の反対運動
新しい駅舎建設に、このプロジェクトは市民参加を入れなかったため、数十万人の大規模な反対運動にあった。
インフラ計画には、必ず市民参加をいれる。
■安全なエネルギー供給のための原発問題倫理委員会
ミランダさんは、2011年3月からこの委員会の委員
この委員会の委員は、原子力の専門家はいない。宗教関係者(プロテスタント、カトリック)、市民団体など。
原子力を社会が欲しがっているのかどうかは社会が決めるという考え方が前提にある。
この倫理委員会の人選は、二つのトップと政権が選ぶ。
二つのトップとは、宗教信仰、環境。
ドイツ国内でも、この20年間で議論は二分されてきた。
それは、2035年までに廃止すべきだという立場と、今すぐ止めるべきだという立場。
いずれも、将来は必ず原発を廃止することでは合意している。
■ドイツの社会民主党(SPD)
SPDは1986年までは原発政策を支持していた。これは電力労組の支持を政党が受けていたから。
しかし、1985年チェルノブイリ事故以後、方向を転換。労働組合も原発反対へ転じた。
ドイツ国内では、原発リスクについての社会での認識は高い。
だが現在でも国民の10%は原発政策を支持している。
■フクシマ以後に停止させた原発の停止を継続させる基準は何か?
ドイツでは、それらを止めたままにする。
ドイツでは、フクシマ以後の原発安全調査により、すべての原発の安全性に問題があるとされた。
例えば、飛行機が原発に突っ込んだ場合なども。
ドイツ国内では、日本ほどのハイテクで事故を制御できないないなら、ドイツにできるとはいえないという議論もある。
その結果、全てをすぐに止めたほうがよいと議論されたが、電力の需給とコスト問題で、まず古い原発を停止させた。
原発を停止させる権限は、大臣にはない。
この点は日本も同じで、浜岡原発停止は、菅首相から中部電力への要請により停止された。
現在は、三ヶ月間のモラトリアム(チェック期間)
そして、もしこれを議会で停止させるかを議論すると、停止する議決がでることは明白だったので、停止された。
■ドイツでの日本に対する疑問
「なぜ日本は原発廃止法案が出ないのか?」
現在の日本は市民参加が政治に参加する機会がすくない。
ドイツでは、緑の党のようなNGOも力をもってグリーン政策を政治に働きかけている。
■オランダでは、ドイツの脱原発政策の決定後に、ドイツ国境近くに原子力発電所を計画がだされた。
■国際社会と地球温暖化
ドイツでは地球温暖化や脱原発が、なかなか国際会議で進まないのであれば、独自に率先してそれを行うべきだという議論がある。
それは、ドイツが率先して国際社会にGood Moodを見せれば、他国もそれを導入していくだろうと。
※但書:これは私的メモです。詳細は当日講演のアーカイブで確認を。
岩上安身オフィシャルサイト
http://iwakamiyasumi.com/archives/10140
※エネシフジャパン エネルギーシフト勉強会
http://www.sustena.org/eneshif/
Saturday, June 04, 2011
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